教員挨拶

進学を希望する皆さんへ

理系の学生にとっては,大学院時代は,これからの人生を決定するもっとも重要な時期であるといっても過言ではないと思います.大学院時代にたまたま出会ったテーマに興味を持ち,それ以降の長い人生においてもそのテーマを追求している研究者も少なくありません.私自身,大学院時代にソフトウェアの持つ奥深さ,その魅力に取り付かれ,今に至っています.また,大学学部までの教育においては,主として,解答がすでに存在する問題が与えられ,それをいかに解くかという教育であったと思いますが,修士論文,博士論文では,これまでに誰も解いた実績のない問題を自ら見つけ,それを解決することになります.取り掛かった問題に解が無いのかもしれませんし,2年間あるいは3年間では解けないことを途中で知ることも,あるいは,タッチの差で,別の研究者が解いてしまうこともあります.このように,問題を解くことももちろん重要ですが,問題を見つけることも大きな仕事になります.この経験は,どんな職業にしろ,社会に出てから非常に役に立ちます.社会では,問題を見つけることのできる人材は貴重です.発見した問題を,しっかりとした技術力を用いて解いていくことができれば鬼に金棒です.

さて,修士論文,そして博士論文を仕上げていく過程は,多くの人にとっては容易ではありません.しかし,それを乗り越えて,仕上げたときの達成感は何物にも代えがたいものです.また,研究成果は国際会議や論文誌に投稿するわけですが,その結果が返ってくるまでの緊張感はある意味非常に気持ちの良いものです.さらに,発表が認められ,国際会議で無事発表が終わり,会場から大きな拍手が沸きあがったときの瞬間のなんともいえない充実感をぜひ,体験して欲しいと思います.これらの様々な体験は,これからの人生において,大きな自信になるのは言うまでもありません.この自信が長い人生に乗り切るのに必要な大きな財産になります.これは,研究者としてだけではなく,すべての職業に共通な財産です.

また,学部までは,どちらかと言えば,一人で黙々と勉強するのが普通です.大学院時代は,基本的に一人で研究を進めますが,その過程において指導教員だけではなく,研究室内の先輩や同期との議論も活発です.相手をつかまえて,議論しながら自分の考えをまとめていくスタイルも奨励されています.議論を通じて,新たな発見がある場合が非常に多いからです.また,プロジェクトを組んで,共通の目標に向かって進んでいくこともあります.

このように,大学院時代は,学部までと社会とのちょうど中間に属して,その後の人生に大きな影響を与える様々な体験ができる場なのです.本位田研究室は,まさにその場を提供しています.

本位田 真一